犬フィラリア症とは、犬の心臓に細長いそうめん状の虫が寄生する病気です。
この病気は予防薬を飲むまたは注射すれば、確実に予防できるものですので、毎年忘れずに予防してあげましょう。
「フィラリア症は薬で予防できる」ということを知っている飼い主様も増え、その予防の必要性が浸透したおかげで、最近ではフィラリア症で亡くなるワンちゃんも少なくなりました。予防について正しく理解し、勘違いからワンちゃんの命を危険にさらすことがないようにしてあげたいですね。
 
フィラリアは蚊によって広がる
・身近にいる蚊が、フィラリアに感染している犬の血液を吸います。
・この時血液中の子虫(ミクロフィラリアと言います)を一緒に吸い込みます。
・この子虫が蚊の中で2回脱皮すると犬への感染能力を持った幼虫(感染幼虫)になります。
・この感染幼虫を持つ蚊が健康な犬の血を吸うと、その刺し口から健康な犬の体内に感染幼虫が侵入します。
 
潜伏期間がある
・フィラリア症は、「感染幼虫が犬の体内に入った」、「心臓内にフィラリアが寄生した」としても、すぐに体調に変化がでるものではありません。フィラリアが成長し、数が増え、何年もかけて病気が進行して心臓や肺の血管がボロボロにならないと症状が現れません。
・予防せず検査もしていないけど「元気です」という飼い主さまもいらっしゃいますが、もう感染しているけれども症状がでていないだけかもしれません。そして症状が出てしまってからでは遅いのです。
 
体内を移動し、約半年かけて心臓や肺へ
・体内に入った感染幼虫は皮膚や筋肉で生活しながら2回脱皮を繰り返します。
・脱皮を繰り返すのに約2ヶ月程かかります。
・準備ができると今度は血管に侵入し、心臓や肺へ移動し始めます。
・最終寄生場所に到達するのは侵入してから約半年程です。
・♂と♀のフィラリアが揃うと、新しい子虫が生まれだします。
・この子虫を蚊が吸い込み、次の犬への感染源になります。
 
 
フィラリアに感染した犬の症状は?
・成長したフィラリアは長さ15〜30センチのそうめんのような形をしています。
・長い年月をかけて肺や心臓の内面を傷つけたり、心臓の動きが邪魔されて症状が現れはじめます。
・咳がでる
・元気がない
・食欲がない
・お腹が膨らんできた
・尿が赤い
深刻な症状が出てくるのはフィラリアに感染してから何年もしてからの場合が多いです。
 
 
犬の血管内に侵入する前に予防薬を飲ませる事が重要です
・フィラリアが皮膚の下に入ってから、血管内に入るまでに約2ヶ月かかります。
・この血管内に入る前の段階でお薬を飲ませてあげれば、フィラリアに感染することは予防できます。
・予防薬とは言っていますが、飲むと1ヶ月間ずっと予防してくれるお薬ではありません。
1ヶ月ごとに、入ってきた子虫を駆虫することによって感染を予防するお薬です。
・この期間に投薬できないと、子虫が血管内に侵入して心臓や肺動脈に到達してしまいます。
・体内に入った子虫を確実に駆虫するために、1ヶ月に1度というタイミングが決められています。
・数日のズレは許容範囲ですので、遅れても必ず投与してください。
 
投薬開始と終了のタイミング
・各地域によって、例年の気温のデータから投薬期間は変わってきます。
・石川県では5月〜12月です。(例年より暖かい年は4月から)
・蚊が出始めて1ヶ月後から 蚊を見なくなってから1ヶ月後までです。
・11月に蚊がいなくなったら、12月まで投薬しなければいけません。
・12月の予防薬が抜けてしまうことによって、それまでの投薬が全て無駄になってしまいます。
12月の最後の投薬が一番重要です!必ず投与してあげてください。
 
 
よくある質問
Q:マンションに住んでいるので予防しなくてもいいですか?
A:マンションでもエレベーターに乗って、人の体に付いて、蚊は室内に侵入してきます。いくら防虫グッズを使用したとしても、100%予防することはできません。必ず予防してあげてください。
 
Q:周りの人が予防しているから大丈夫でしょ?
A:最近は予防する方が増えているので感染の可能性は昔に比べると低いですが、毎年当院でのフィラリア検査でも陽性の方は出ています。ということは、同じ地域に子虫を体内に持った蚊が飛んでいるということです。運悪くその蚊に吸血されてしまうと感染が成立してしまいます。
 
 
Q:お薬を飲ませるのが大変なのですが。
A:予防薬は美味しい味の付いたタイプや、好きなものに混ぜられる小さな錠剤タイプ、1年間の予防ができる注射タイプがあります。
何かに混ぜてもあげるのが難しい場合は、注射タイプを選択されてもいいかもしれませんね。詳しくはお問い合わせくださいね。
 
Q:去年の飲み残しがあるのですが、飲ませてもいいですか?
A:もしフィラリアに感染している状態で予防薬を飲んでしまった場合、血管内にいる子虫が死滅し、激しいアレルギー反応が出る可能性がありますので、飲み始める前に必ず病院で感染していないことの確認をしてから投薬しましょう。
飲み残しがあるということは感染している可能性が高いわけですから、検査せずに飲ませることのないようにしてあげてください。